医療秘書技能検定は、医療機関での事務業務を円滑に進めるために必要な知識や技能を評価するための資格試験です。この検定は、医療機関で働く秘書や事務員を対象にしており、医療に関する専門的な知識と事務処理能力を証明するためのものです。医療秘書技能検定は、医療現場での実務経験がなくても受験可能であり、医療分野でのキャリアを考えている人や、既に医療機関で働いている人にとって非常に有益な資格です。

検定の目的と重要性
医療秘書は、医師や看護師、その他の医療スタッフが円滑に業務を遂行できるようにサポートする役割を担っています。具体的には、患者の受付対応、診療報酬請求業務、医療文書の作成や管理、電話応対、スケジュール管理など、多岐にわたる業務を行います。医療秘書技能検定は、これらの業務を遂行するために必要な知識と技能を体系的に学び、その習得度を評価するための試験です。

試験の概要
医療秘書技能検定は、日本医療秘書育成協会が実施しており、複数の級が設けられています。主に1級、2級、3級の3つのレベルがあります。各級の試験内容は異なり、求められる知識や技能の深さも異なります。

3級: 基本的な医療事務の知識と技能を問う試験です。医療機関での基本的な業務を理解し、実務に応用できることが求められます。初学者向けの内容で、医療事務の基礎を固めるための試験です。

2級: より専門的な知識と技能が求められます。具体的には、医療保険制度や診療報酬請求に関する知識、医療機関の運営管理に関する知識などが試されます。実務経験がある程度ある人や、医療機関での事務業務を本格的に行うことを目指している人に適しています。

1級: 最も高度な知識と技能が求められる試験です。医療機関の経営管理、医療法規、医療経済など、非常に専門的な内容が含まれます。医療機関の管理職やリーダーとしての役割を担うための知識が試されます。

試験の内容
試験は、筆記試験と実技試験の2つの形式で行われることが多いです。筆記試験では、医療事務に関する理論的な知識が問われ、実技試験では、実際の業務に即したシミュレーションやケーススタディが行われます。例えば、患者の受付から診療報酬の請求までの一連の業務をシミュレートし、その正確さや効率性が評価されます。

医療秘書技能検定試験の合格基準は、全級共通で、領域I、II、IIIの正解の合計が180点以上あり、かつそれぞれの領域の正解率が60%以上であることです。領域I、II、IIIはそれぞれ100点ずつ配点されています。
また、医療秘書教育全国協議会が実施している電子カルテ実技技能検定試験や医事コンピューター技能検定試験も、全級共通で合格基準は60%以上です。電子カルテ実技技能検定試験は実技のみの試験で、配点は60点満点です。医事コンピューター技能検定試験は領域I、II、IIIそれぞれ60点満点で、合計180点満点です。