「飯塚事件」再審請求棄却、元死刑囚の無罪主張は認められず
32年前の福岡県飯塚市で発生した「飯塚事件」で、すでに死刑が執行された元死刑囚の再審請求が再び棄却されました。新たな証言を証拠とした再審請求でしたが、福岡地裁は認めませんでした。事件の真相はいまだ不明なままです。
「飯塚事件」再審請求棄却、元死刑囚の無罪主張は認められず
1992年、福岡県飯塚市で発生した「飯塚事件」は、当時小学1年生だった女の子2人が登校途中に連れ去られ、その後遺体で発見された事件です。この事件では、殺人などの罪に問われた久間三千年元死刑囚が逮捕され、2006年に死刑が確定、2008年に執行されました。
久間元死刑囚は事件当時から一貫して無罪を主張し、その家族は再審を求めてきました。2021年には新たな目撃証言を証拠として、2度目の再審請求を行いました。
しかし、福岡地方裁判所は2024年6月5日、この再審請求を棄却する決定を下しました。裁判所は、新たな目撃証言の信用性について疑問視し、元死刑囚の無罪を主張する証拠として認めませんでした。
弁護側は、事件当日に女の子2人を最後に見たとされる女性が、当時の調書の内容を否定する証言をしたことなどを新たな証拠として提出していました。一方、検察側は、この証言は信用性がないと主張し、再審請求を認めませんでした。
今回の決定を受け、久間元死刑囚の家族は大きな失望感を表明しています。事件の真相はいまだ不明なままで、今後の展開が注目されます。
時間がかかるのでたいへん
裁判の再審請求にどれくらい時間がかかるかは、事件ごとに大きく異なり、一概には言えません。
短期間で再審が認められた事例もあれば、何十年もかけてようやく再審が認められた事例もあります。
例えば、1981年に死刑判決を受けた袴田事件では、再審請求から37年後の2014年にようやく再審が認められ、無罪判決が言い渡されました。
一方、1989年に殺人事件で逮捕された足利事件では、再審請求から27年後の2016年にようやく再審が開始され、2021年に無罪判決が言い渡されました。
再審請求にかかる時間が長くなる理由としては、以下のようなものが挙げられます。
再審請求の裁判自体のやり方・手続が法律で定まっていないこと
裁判所が「裁判のやり直し」を認め、有罪の判決には疑いがある、と認定しても、検察官がこれに不服申立てをすれば、「やり直す」かどうかの審査が続き、「やり直し」の裁判は行われないこと
32年前に起きた「飯塚事件」は、社会に大きな衝撃を与え、いまだに多くの人の記憶に残っています。今回の再審請求の棄却は、事件の真相解明への期待を大きく損なうものであり、非常に残念です。
新たな証言が提出されたにもかかわらず、裁判所はそれを認めませんでした。再審請求の棄却理由については、詳細な説明がなされていません。このことが、事件の真相解明への不信感を抱かせ、事件の真相を巡る議論はさらに深まる可能性があります。
今回の裁判の結果は、事件の真相解明への道のりを困難なものにしました。しかし、事件の真相を明らかにしたいという思いは、決して消えることはありません。今後、新たな証拠が出てくる可能性もゼロではありません。事件の真相解明に向けて、引き続き努力が続けられることを期待します。
また、この事件は、日本の司法制度に対する信頼を揺るがすものでもあります。今回の再審請求の棄却は、冤罪の可能性を示唆しており、司法制度に対する不信感を募らせる可能性があります。司法制度は、国民の信頼を維持するためにも、冤罪防止に最大限の努力を払う必要があります。
この事件は、私たちに、事件の真相解明の難しさ、そして司法制度の課題について改めて考えさせられるものです。事件の真相は、いまだに闇の中です。しかし、真実が明らかになるまで、諦めることなく、真相解明に向けて努力を続けていくことが重要です。