普通、部員が死亡したら廃部になったり、改善がされるものですよね。剣道の対応が遅れているのは何故なのかをまとめてみます。
1)最早、青少年育成はない
青少年育成とは狭義には青年が非行に走らないように教育することである。広義には条例として定めてあり、深夜に未成年が出歩かない。店舗に成年用雑誌コーナーを設ける。酒やタバコは年齢確認をするなどである。1980年代、管理教育に反発して不良が流行っていた。不良に教育を施す矯正所として武道の役割があった。平成、令和はゆとり教育となり、武道の青少年育成の役割は終えている。
1980年代を過ごした青年は親になっている。青少年育成の神話があるので武道に子供を預けるのだが、それがどのような経過を辿るのかは以下の事件を見ると明らかとなるだろう。
2)竹田高校剣道部員の熱中症死亡事件(2009年8月)
工藤剣太(17歳)が稽古中に熱中症で死亡した事件です。剣道という運動競技は気密性と重量のある防具を着けて行います。時期は夏でした。汗をかきやすく、体温の上がり易い状態で高校の顧問が暴行的な指導を加えた。意識が朦朧としている剣太君に芝居であるとか、もう少しやれと追い詰めた。失神した剣太君を救助せずに放置した。水分不足、塩分不足により体温調節ができなくなり高温の為に多臓器不全を起こして死亡した。
精神論に片寄り過ぎて死亡するリスクを回避できなかった。法律としては武道の指導と思い込んでいたが、過失で死亡してしまったと考えられたのだろう。生徒を預かる顧問の立場なので当然払うべき配慮があると思うんです。生徒は生命を損なわないのは当然であり、死亡させたのは重く受け取るべきだったのではないだろうか。将来のある若者を過失により死亡させたので生涯年収の見込みを民事的に求める必要があるだろう。
練習中の事故死だから、顧問は定職6ヶ月となった。
3)博多高校剣道部自殺事件(2020年8月)
侑夏(15歳)さんは高校の剣道部の指導を苦に自殺した事件です。博多高校の剣道部には剣道のできる子には優遇し、剣道の不得意な子には冷遇するヒエラルキーが強烈であった。侑夏さんは剣道であまり良い成績を残せずに顧問の異常な指導に出会った。暴力的な声、引き倒し、防具のない所を打つ、椅子を蹴り倒すなど威力を見せられた。剣道が上手にできないだけで萎縮し、学校に行くのが嫌になり始めた。剣道に向かう姿勢の悪さをバカにされ続けるのを苦に電車に飛び込み自殺した。
監督の粗野や言動が侑夏が思い通りにならない何かを作ったのだと考えられる。そんな部活は辞めてしまえばいいと考えずに命を絶ったのは剣道が彼女の人生の深くに入り込んでいたのだと思われる。学校側が顧問の不適切な指導と認め、再発防止を約束をして和解に至る。だが、生徒は生命を損なわないのは当然であり、死亡させたのは重く受け取るべきだったのではないだろうか。
殺意は無いから、和解ということであります。
4)東海大福岡校男子飛び降り自殺事件(2021年3月10日)
東海大付属福岡高の高2の男子学生は剣道部に入部した当初から上級生5人に猥褻な行為を受けたり、猥褻行為の動画をSNSにアップロードされたり執拗なイジメを受けていた。それを苦に福岡県のマンションの屋上から飛び降り自殺した事件だ。
事件が破廉恥で悪質であります。弱者に暴力を働く悪質さが異常に目立つ。弱者とみると性犯罪を働く卑劣な行いは許し難い。剣道は体は強くなるけど、大きくなると好き放題に暴力を振るうようになる見本のような事件です。
結果、少年5人の内、一人は強制わいせつ罪、他は保護観察2年。顧問は出勤停止1か月であった。
5)近畿大剣道部員死亡事件(2023年10月16日)
近畿大の剣道部の学生は飲食店で酒を飲んだ後、同じ部員の男性に暴行を加えて転倒させた。転倒の時に頭部を打ち、頭部はくも膜下出血を起こして死亡した事件である。
6)まとめ
武道は死に瀕している。良識を教わらない武道は伸び伸びと暴力を振るう。